「雨垂れ石を穿つ」の夏季限定酒「雨垂れ石を穿つ 渡船」が5月30日から登場します。今年は未来につながる先進的な循環型栽培方法で栽培した酒米で仕込んでいます。
「渡船(わたりぶね)」はこのお酒の原料となる酒米の名前。
全国でも希少な品種ですが、実は酒米の王様「山田錦」の父親系品種として酒通や蔵元の間ではよく知られている酒米です。
実は「渡船」は滋賀県が発祥の酒米。萩乃露では「渡船」の復活栽培に地元高島市で取り組んできました。2017年にわずか7gの種籾から栽培を始め、収穫できた米を苗にし、更に田植えをして復活栽培に取組んできました。こうしたことを繰り返し、昨年には「雨垂れ石を穿つ」の仕込をすることが出来るまでの収穫量になりました。毎年少しずつしか進まない気の長い歩みですが、収穫できる「渡船」の量と質が確実に上がり、成果に繋がっていると感じます。
更に今年は「渡船」の栽培にあたり、全国でも先端的な循環型農法に取り組みました。今回の取り組みは、日本酒の美味しいが環境にもやさしいにつながる仕組みで、近いみらいの標準的な農業になるかもしれません。

お米を収穫すると必ずもみ殻が発生します。昔は田んぼで火をつけて燃やしていましたが、環境汚染にもつながりかねず、最近ではその処理が問題になっています。
そこでヤンマーさんがもみ殻からバイオ炭を有害物質等を発生させずに製造できる技術を開発しました。弊社が地元で酒米の契約栽培を行うパートナーである西坂農機さんが全国に先駆けて2年前からもみ殻バイオ炭の製造について実証実験を実施、その成果を活かして酒米を栽培する圃場にもみ殻バイオ炭を戻し、「渡船」の栽培を行いました。全国でも珍しいバイオ炭を活用した酒米栽培と評価をいただいています。
もみ殻バイオ炭を活用した酒米栽培が注目されるのは、CO₂の固定化によるカーボンオフセットの効果、土壌改良や収穫量の改善効果が期待されるなど、地球環境、農家、酒蔵、飲み手の皆さん全てに良い循環が期待されるからです。
それでは肝心の「渡船」の出来ですが、現在米不足が毎日問題になっていますが、酒米も昨年は夏の猛烈な暑さで質、量ともに大変厳しい一年でした。そんな中、もみ殻バイオ炭を活用して育てた「渡船」は猛暑の影響も見られず、収穫量も前年並みを確保できました。また「渡船」本来の力強い味わいを引き出しやすい適度なやわらかさをもった品質も素晴らしいお米になりました。
もみ殻バイオ炭を活用して育てた「渡船」を「雨垂れ石を穿つ」の特徴である江戸時代後期に行われた古の醸造法「十水仕込(とみずしこみ)」を用いることで「渡船」の味わい深い特徴がより際立って感じられます。
「雨垂れ石を穿つ 渡船」はしぼった後は生酒の状態で0℃で貯蔵することで味わいをより充実したものへと仕上げました。さらに瓶詰前に低温殺菌を施しましたので、「雨垂れ石を穿つ」ならではの濃醇な深い味わいと生酒を思わせる若々しさが感じられる、きれいに味わいが膨らむ仕上がりとなっています。
数量限定、取り扱い店限定ですので、お近くの取扱店などはお問い合わせください。

1.8L 3,630円、720ml 1,980円(消費税込)